原因を外に探しはじめると、手の出しようがなくなります。家の方角、付き合う人、身につけているもの。どれも、今日は変えられない。
先に答えを言うと、運気が下がる原因は、悪い場所でも、悪い人でもありませんでした。夜に、自分に何を入れているかのほうです。そして、これには測った研究があります。順番に、書きます。
運気が下がるのは、何が原因なのか
世の中では、下がる原因を三つに分けて説明することが多いようです。付き合う人。住んでいる家。身につけているモノ。
どれも、間違ってはいません。ただ、引っ越しも、人間関係の整理も、今日はできません。
僕が見てきたかぎり、いちばん効いていて、いちばん手が届くのは、別のところにありました。入り口です。眠りに入れるもの。体に入れるもの。目から入れるもの。この三つが、その人の心の状態を、そのままつくっています。
なかでも効き方が違うのが、夜です——理由は、三つのうちで唯一、翌朝まで持ち越されるからでした。
夜の光は、眠りの材料を減らしている
ここで、調べた話を置きます。
眠りに入るとき、体はメラトニンという物質を出します。夜になったことを体に知らせる、時計の役目をするものです。ハーバード大学の健康情報によると、この分泌は光で抑えられます。しかも、青い光がとくに強く抑える。ある研究では、青い光を浴びた場合、緑の光と比べて、メラトニンが抑えられる時間がおよそ二倍になりました。
そして、必要な明るさは、驚くほど小さい。八ルクスで、影響が出ます。八ルクスは、たいていの卓上ランプより暗く、常夜灯の二倍ほどの明るさです。スマホの画面は、それより明るい。
つまり、布団のなかで画面を見ている時間は、眠りの材料を減らしている時間です。翌朝、理由もなく気が重い日があります。あれは、性格でも、運でもなく、前の晩に入れた光が、まだ残っているだけかもしれません。
寝る直前の数分が、翌朝を決めている
光の話は、体の側の話でした。心の側にも、同じことが起きています。
あなたが眠っている間も、潜在意識は、働き続けています。寝る直前に考えていたことは、そのまま一晩中、心のなかで流れ続ける。「またうまくいかなかったらどうしよう」と考えながら眠る夜は、その情景を一晩かけて、自分に流し込んでいることになります。
どん底の頃の僕には、毎晩の習慣がありました。布団に入って、電気を消して、それからスマホを開く。楽しそうな誰か。うまくいっている誰か。自分が持っていないものを持っている誰か。指を動かすたびに、自分が少しずつ削られていく。
いま思えば、あれは、毎晩「自分には無い」を飲んでいたようなものでした。光で眠りの材料を減らしながら、中身のほうでは足りなさを流し込んでいた。それで朝、起きられなくなって、当然でした。
画面の中身のほうも、しつけ直せます。タイムラインは、あなたが見たものを、もっと差し出してきます。つまり、何に反応するかで、明日の画面は変わる。ネガティブな投稿が流れてきたら、読み込まずに「興味がない」を押す。反応しないことが、いちばん強い断り方です。僕の場合は、二週間ほどで画面が変わり始めました。夜に浴びるものが変わると、翌朝の重さのほうが、先に軽くなりました。
今夜、どこから変えるのか
消そうとしなくて、いいんです。心配は、消そうとすると大きくなります。
僕がやっているのは、二つだけです。布団に入ったら、画面を伏せる。そして、今日の心配の続きが始まったら、心のなかで一言だけ置く。「それは、明日の僕が考える」。
そのあとで、今日あった良かったことを、ひとつだけ思い出して眠る。昼のごはんがおいしかった。空がきれいだった。それで十分です。
運気という言葉は、天気のように、自分ではどうにもならないものに聞こえます。ただ、入り口のほうは、今夜から選べました。八ルクスの光を消すことと、最後に入れる一言を選ぶこと。どちらも、お金はかかりません。



