特別なことをしていないのに、なぜかお金に困らない人がいる。

何が違うのかを探して、家計簿と節約の記事にたどり着く。そこで止まってしまう方は多いようです。節約は続かず、投資は怖い。

先に答えを言うと、分かれ目は習慣の数ではありませんでした。お金を、どう見ているかです。僕はこの謎を何年も観察して、消去法でここに行き着きました。順番に、書きます。

お金が集まるのは、何で決まるのか

やり方は、消去法です。

学歴は、違いました。大学を出てお金に困っている人はいくらでもいて、学歴のない大富豪も、いくらでもいます。

努力の量も、違いました。誰よりも長く働いて、誰よりも疲れていて、それでも手元に残らない人を、たくさん見てきました。

知識も、違いました。同じ本を読んで、変わる人と変わらない人がいます。僕自身、お金の本を読みあさって、残高は一円も動きませんでした。

運も、違いました。宝くじのような大金が入っても、数年で元の生活に戻る話は、珍しくありません。入ってくることと、残ることは、別の話でした。

学歴高学歴で困る人も、無学歴の富豪もいる努力誰より働いて残らない人がいる知識同じ本で変わる人と変わらない人入っても数年で戻る学歴高学歴で困る人も、無学歴の富豪もいる努力誰より働いて残らない人がいる知識同じ本で変わる人と変わらない人入っても数年で戻る
消去法。四つとも「集まる人」と「困る人」の両方にいた。

全部消して、最後に残ったのが——お金の見方だけだったのです。

お金は、どこに住んでいるのか

ここで、調べた話を置きます。

2009年1月、アフリカのジンバブエで、100兆ドルという額面の紙幣が発行されました。世界で初めての桁です。経済政策の失敗から物価が止まらなくなり、桁を10個切り捨てても、また桁が増えた。翌月には12桁を切り捨てて新しい通貨が出て、その年のうちに、国は自国の通貨を捨てて米ドルなどを使うようになりました。2015年、ジンバブエドルは正式に廃止されています。

100兆ドルと印刷された紙が、紙に戻った。

2008年8月10桁を切り捨てる2009年1月100兆ドル紙幣を発行2009年2月12桁を切り捨て、米ドルなどへ2015年ジンバブエドル、正式に廃止2008年8月10桁を切り捨てる2009年1月100兆ドル紙幣を発行2009年2月12桁を切り捨て、米ドルなどへ2015年ジンバブエドル、正式に廃止
額面がいくら大きくても、全員が信じるのをやめた瞬間、紙に戻る。

この話が教えているのは、お金の住所です。紙幣の値打ちは、紙のなかにも、銀行のサーバーのなかにも、ありません。全員があの紙にその値打ちがあると信じている、という一点にだけあります。だから、全員が信じるのをやめた瞬間、あれはただの紙に戻る。

つまり、お金は物理的な紙ではなく、人間の意識のなかに住んでいます。だから、労働時間や時給の計算だけでは動かず、意識のあり方のほうに従って動く。

見方は、どう分かれていたのか

具体的には、こう分かれていました。

困り続ける人は、お金を「人から奪うもの」と見ています。誰から、いくら取れるか。この見方の人は、精神世界の側で、奪い合いの流れのなかに立っています。奪う人は、奪われる。だから、いずれ壊れていきました。

困らない人は、お金を「価値を提供した対価」と見ています。誰かの役に立って、喜ばれて、その結果として受け取る。この見方の人は、感謝が集まる流れのなかに立っています。だから、感謝されながら続いていきました。

奪うものと見る誰から、いくら取れるか。奪い合いの流れに立つ。奪う人は奪われる。派手でも、いずれ壊れる対価と見る誰の役に立ったか。感謝が集まる流れに立つ。がつがつしていないのに、続いていく奪うものと見る誰から、いくら取れるか。奪い合いの流れに立つ。奪う人は奪われる。派手でも、いずれ壊れる対価と見る誰の役に立ったか。感謝が集まる流れに立つ。がつがつしていないのに、続いていく
同じ金額でも、どちらの流れに立って受け取ったかで、続くかどうかが決まっていた。

ここで、誤解しないでほしいことがあります。お金を欲しがるのは、悪いことではありません。願うことも、追いかけることも、正しい。願うほど、お金は近づいてきます。分かれ目は、願うかどうかではなく、奪うものと見ているか、対価と見ているかでした。

見方が変わると、何が変わるのか

見方は、二つの癖になって表に出ます。

ひとつは、使い方。困り続ける人は、お金をせき止めていました。守って、貯め込んで、出すときはしぶしぶ。困らない人は、逆でした。先に払い、先に与える。学びにも、道具にも、人にも、ためらいなく回す。使ったお金は消えるのではなく、価値と感謝を連れて、めぐって戻ってくる。それを体で知っている使い方でした。

旅先で泊まった安宿の主人が、こう言っていました。お金は、水と同じ。回せば生きて、止めれば腐る。もうけはため込まず、宿の手入れと、町の市場に回す。だから町の人まで、彼の宿に客を連れてくる。使い方が、見方をそのまま表していました。

もうひとつは、速さです。困らない人は、例外なく動くのが早い。ピンと来たら、その週のうちに試している。違ったら、やめる。

いちばん高い買い物は、「いつかやる」だと僕は思っています。お金も時間も動かさず、循環をいちばん長く止める買い物だからです。「いつかやる」と言った人が、実際にやったところを、僕はほとんど見たことがありません。

節約の技術を増やす前に、見方のほうを一度見直す。順番は、そちらが先でした。見方が先で、癖は、あとからついてきます。