意味を調べると、占いの申し込みページに行き着いてしまう。意味は分からないまま、次の偶然を待つ。
先に答えを言うと、偶然が重なるのには、条件がありました。待っているときではなく、決めた直後に起きます。この言葉を最初に名づけた人の体験にも、その条件が入っていました。順番に、書きます。
偶然に、意味はあるのか
意味のある偶然の一致には、名前がついています。心理学者のユングが、1952年の論文で、シンクロニシティと呼びました。原因と結果ではなく、意味のつながりで結ばれた二つの出来事、という定義です。
ユング自身の、有名な体験があります。診察室で、ある患者が、金色のコガネムシを贈られた夢の話をしていた。その最中に、窓を何かがたたく音がした。ユングが窓を開けると、金色のコガネムシが飛び込んできた。古代エジプトで、スカラベと呼ばれるこの虫は、再生の象徴でした。
僕がこの逸話で見ているのは、虫のほうではありません。順番のほうです。患者が夢を語り、ユングが窓を開けた。動きが先にあって、偶然があとから来ています。
偶然が重なるのは、いつなのか
ここからが、今日の本題です。僕の場合の話をします。
母が受けた占いが、五年間ずっと当たり続けている。その話を、くだらないで終わらせることもできました。でも、どうしても確かめたくて、九州のある島まで会いに行くことにしました。
不思議なのは、そのあとです。会いに行くと決めた瞬間から、現実のほうが動き出しました。
まず、予定していた仕事が、なぜか急にキャンセルになりました。三日間、ぽっかりと時間が空いた。飛行機を調べると、その日程だけすんなり予約が取れて、着いた先の天気は、嘘みたいな快晴でした。
行くと決めて、動いた。たったそれだけで、まわりが味方するように動き出したのです。あとから振り返ると、あの三日間が、僕の人生が動き始めた最初の一歩でした。
なぜ、決めた直後に見えるのか
だから僕は、名前よりも、起きた条件のほうを見ています。いつ起きたか、です。というのも——偶然そのものは、毎日いくらでも起きています。問題は、どれが目に入るか、でした。
人の脳は、探しているものだけを拾うようにできています。決める前は、同じ出来事が起きても、目に入りません。決めた瞬間から、探しものが変わる。仕事のキャンセルは、決める前なら「困ったこと」で終わっていたはずです。決めたあとだから、「空いた三日」に見えた。
待っていて、起きるのか
僕の観察では、順番が逆になっている人がとても多いように思います。偶然が重なるのを待って、それをサインだと受け取ってから動こうとする。でも、僕が見てきたかぎり、偶然は決めた人のところに集まっていました。
引き寄せというと、何もしないで待つ話だと思われがちです。そうでは、ありませんでした。待つのは、結果のほうです。自分は、動かす。ユングも、窓を開けています。
サインを待っているあいだは、まだ何も決まっていません。決めた日から、景色のほうが変わります。偶然に意味があるとしたら、それは、あなたがもう動き始めているという意味でした。



